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そんなにかかるの?不動産売却時の税金

そんなにかかるの?不動産売却時の税金

今回は不動産の売却時の税金について説明します。

売却時の費用の中で意外と大きな出費になるのが「税金」です。

税金の話は専門用語が多く、計算もややこしいので理解しづらくて困ってしまいますよね。

厳密な額が知りたければ税務署か税理士に相談していただくのがベストですが、

専門家への相談は少し敷居が高くもあります。

そこで今回は、大まかな税額を把握できるように、基礎知識だけをわかりやすく解説できればと思います。

不動産を売却された際にかかる税金には譲渡したときの所得税と住民税です。

一般的には合わせて譲渡税と呼ばれています。

簡単にお伝えすると不動産を購入した時の金額より売却した時の金額の方が高くなった場合、それが利益とみなされ税金がかかるというものです。

なので、逆に言うと購入時の金額よりも売却時の金額が下がった場合、税金はかかりません。

損をした方からは税金は取りませんよという事になります。

私の経験上、北摂の物件で譲渡税がかかってくる物件としては

・駅前のマンション

・昭和60年以前に購入された土地・戸建

が譲渡税の対象になってくることが多いです。

譲渡税は、不動産の売却時の利益である「譲渡所得」に課される税金です。

まずは「譲渡所得」がいくらになるのかを計算する必要があります。

また、居住用として使用していたかどうか、不動産の所有期間は何年になるのかという条件によって税率が変わるため注意が必要です。

●譲渡税の求め方

まずは譲渡所得を計算します。譲渡所得とは、不動産の売却金額(固定資産税清算金含)から売却時にかかった諸費用と不動産の購入金額および購入時の諸費用を差し引いたものになります。

計算式は以下の通りです。

※購入金額について

不動産購入時に建物がある場合には建物を減価償却させる必要があります。

減価償却とは、簡単にいうと「年数を経るごとに価値が下がっていきますよ」ということになります。

土地は経年により価値が変化することがないため、減価償却は建物にのみ適用されます。

10年間住んだ家は、経年劣化などによって、新築の家よりも価値が低くなりますよね。その「目減りした価値」を購入費から差し引いたものが購入時の金額となります。

減価償却費は、定められた償却率と計算式によって計算します。所有期間が長ければ長いほど減価償却費は大きくなりますので、必ず計算してください。

計算式は、以下の通りです。

たとえば、新築で購入した5,000万円のマンションに居住して10年経過した場合、下計算式で減価償却費を算出します。土地2,000万円・建物3,000万円の内訳だった場合。

減価償却費=3,000万円×0.9×0.015×10年=405万円

購入価格は購入価格5,000万円-405万円=4,595万円となります。

また、購入時の契約書や領収書が無い等で購入時の金額が不明な場合は売却した金額の5%を概算の取得費としてみなされます。

しかし、それでは、めちゃくちゃ安くなってします。

その場合は、契約書以外の証明資料により、客観的にみて相当の根拠があると税務署が認めた場合は実額計算で申告する事ができます。申告時にできるだけ証明資料を用意して、

・購入契約書を紛失した理由

・購入当時の状況

・証明書資料から取得費を計算した根拠

を記載した書面を税務署に提出します。その内容に信ぴょう性があると認められると、申告は認められます。

●譲渡税4つの控除

譲渡所得を算出できれば、次は税金の控除が利用できるかを確認する必要があります。

譲渡税の控除は次の4つです。基本的に控除の対象は居住用の物件に限られます。

1.居住用財産の3,000万円特別控除

2.居住用財産売却の軽減税率の特例

3.居住用財産の買換え特例

4.空き家の3,000万円特別控除

居住用財産とは、「実際に居住している物件」もしくは「実際に居住していた事実があり、住まなくなってから3年が経過する日の属する年の12月31日までの物件」のことを指します。住んでいるマイホームの売却・買い替えを検討している人や、相続してから3年以内で空き家となっている住居の売却を検討している人は、大幅な減額が期待できます。

ただし、この特例はあくまで「実際に居住しているマイホームを売る」ことで受けられるものです。この特例を受けるために住民票だけ移したり、短期的に入居したりした場合は適用外となります。もちろん別荘などにも適用されません。

1.居住用財産の3,000万円特別控除

居住用財産、つまり実際に住んでいるマイホームを売却した場合、一定の要件を満たすことで所有期間の長短に関わらず譲渡所得から最高3,000万円までを控除できる特例です。

ただし、住宅ローン控除と併用できないので、住み替えの方は注意してください。

利用要件はこちら

 詳細:No.3302 マイホームを売ったときの特例|国税庁タックスアンサー

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3302.htm

2.居住用財産売却による軽減税率の特例

さらに、居住用財産の所有期間が譲渡した年の1月1日において10年を超えている場合、課税譲渡所得のうち6,000万円までは税率が20.315%から14.21%にまで下がります。

また、この規定は特例1の3000万円特別控除と併用することが出来ます。

詳細:No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例|国税庁タックスアンサー

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3305.htm

3.居住用財産の買換え特例

マイホームを売却するだけでなく、買い替える場合は「居住用財産の買換え特例」が使用できる場合があります。この特例では、マイホームの売却金額より買い替えたマイホームの購入金額の方が高い場合、利益に対する課税が繰り延べられ(※)、一時税負担がストップします。

※課税の繰り延べ:買い替えたマイホームを将来売却した際に今回課税されずに繰延べられた所得に課税される制度

3,000万円控除・軽減税率との併用はできませんが、3,000万円以上の大幅な利益が出てしまった場合には、こちらを選択すれば税負担を軽減することができます。

この特例を受けるためには、下記要件を満たす必要があります。

・譲渡したマイホームの所有期間が10年超かつ居住期間が10年以上であること

・譲渡価額が1億円以下であること

・新しく購入するマイホームの取得が、譲渡した年の前年1月1日から譲渡した年の翌年の12月31日までであること

・確定申告をすること

詳細:No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例|国税庁タックスアンサー

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3355.htm

4.空き家に係る譲渡取得の特別控除

相続した空き家を、「家屋の取り壊し」もしくは「耐震リフォーム」の後に売却する場合、マイホームと同様に3,000万円の特別控除を受けられます。

これは平成28年の税制改正で制定されたもので、空き家の有効活用を推進する目的があります。

主な適用要件は下記5件です。

・相続開始の直前において被相続人が一人暮らしをしており、相続発生後、貸付や居住などしていない空き家(相続開始直前まで老人ホーム等に入所していた場合も含まれる可能性があります。)

・旧耐震法の昭和56年(1981年)5月31日までに建築された戸建て住宅

・相続開始から3年後の12月31日までに譲渡したもの

・新耐震基準を満たすよう改修された家屋とその敷地、もしくは家屋を解体している更地になった土地

・譲渡対価が1億円以下

詳細: No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例|国税庁タックスアンサーhttps://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3306.htm

●譲渡税の税率

課税譲渡所得に以下の税率をかけたものが譲渡税となります。

短期は高くなっていますね。これはバブルの教訓から「短期的な土地の売買で儲けちゃだめですよ」といった趣旨で設けられています。居住期間が5年ギリギリだなという人は、必ず税務署や税理士に確認をしてください。

それでは計算例を見ていきましょう。

新築時5,000万円で購入し居住して10年が経過した時に7,000万円で売却した場合

7,000万円-(4,595(減価償却済)+200万円(購入時諸費用)+250万円(売却時諸費用))

=1,955万円(譲渡所得)

3,000万円控除の要件に該当する場合は無税

途中で賃貸等に出して居住用が適用できない場合

1,955万円×20.315%%=約398万円の税金が必要です。

●分離課税のため、会社員でも確定申告が必要

不動産売却における譲渡所得税と住民税は、他の所得と区分して課される税金である「分離課税」です。分離課税となる不動産の譲渡による損益は、他の所得と通算(相殺)することはできません。

給与所得者の場合でも、不動産の譲渡により売却益が出て税金が発生した場合、会社の年末調整とは別に確定申告をする必要があります。

不動産を売却した翌年の2月15日から3月15日までに必ず済ませるようにしましょう。

このように、条件が変わると、税額は大きく変動します。

課税譲渡所得が大きくなればなるほど税額も膨れ上がるので、不動産売却前には必ず計算しておきましょう。

5.居住用財産の譲渡損の損益通算と繰越控除

いままでは、利益が出た場合の税金についてご説明してきました。しかし、逆に不動産を売却し、損をされる方もあると思います。そのような方には救済措置があります。

それが所謂「居住用財産の譲渡損の損益通算と繰越控除」と呼ばれるものです。

先程、確定申告のお話の時に不動産の売却により発生する損失は原則として給与所得や不動産所得などの他の所得との損益通算が認められません。(不動産の譲渡益と譲渡損の内部通算はできます。)とお伝えいたしましたが、一定の要件を満たす居住用財産の譲渡損のうち、一定の金額は損益通算をすることができ、損益通算しきれなかった損失について、損失発生年の翌年以後3年間の繰越控除ができます。つまり、損がでれば税金が戻ってくるという制度です。この特例はマイホームを買替する場合とマイホームを単純に売却する場合とで要件が異なってきます。

利用要件はこちら

詳細:No.3203 不動産を譲渡して譲渡損失が生じた場合|国税庁タックスアンサー

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3203.htm

今回は、個人による不動産売却時の税金について基礎的な事項を解説しました。

不動産売却は、売却金額がそのまま手元に残るわけではありません。

不動産売却をご検討されているのであれば、シュミレーションされる事をお勧めします。

ただし税制は非常に複雑であり、かつ日々変化しています。

譲渡税は不動産の税金の中でも高額かつ難しいものなので、非常にややこしい分野です。

不動産会社の営業マンも間違った事を言ってトラブルになる事を避けたいため、できるだけ触れたくないといった方も多いと思います。

当社では税理士・司法書士等と提携し、お客様の不動産に関わる税金や相続における登記相談などを承っております。不動産の取引は将来的な話だからと思われている方でもお気軽に高槻天神不動産までご相談ください。

お問い合わせ|株式会社高槻天神不動産 (taka-ten.com)

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