●レインズ・指定流通機構って何?
「レインズ(REINS)」とは、「Real Estate Information Network System」の略で直訳すると「不動産情報ネットワークシステム」となります。頭文字をとってレインズ(REINS)と名付けられています。1990年に国土交通省が企画し不動産情報の標準化・共有化を目的に作られた不動産ネットワークシステムです。
レインズは、国土交通大臣の指定を受けた「指定流通機構」である全国4つの公益法人によって運営されており、全国の不動産業者が加入しています。
(公社)東日本不動産流通機構のエリア
北海道、東北(青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県)、関東(東京都、埼玉県、神奈川県、千葉県、栃木県、茨城県、群馬県)、新潟県、山梨県、長野県
(公社)中部圏不動産流通機構のエリア
東海(岐阜県、静岡県、愛知県、三重県)、北陸(富山県、石川県、福井県)
(公社)近畿圏不動産流通機構のエリア
近畿(滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県)
(公社)西日本不動産流通機構 のエリア
中国(広島県、岡山県、鳥取県、島根県、山口県)、四国(愛媛県、高知県、徳島県、香川県)、九州(福岡県、佐賀県、長崎県、大分県、宮崎県、鹿児島県)
わかりやすくいうと、不動産会社しか利用できない「SUUMO」や「アットホーム」のような不動産検索サイトです。レインズおかげで、全国13万の不動産会社が現在市場に出ている売却物件の情報をレインズ上で共有することができ、売却物件の情報を見た全国の他の不動産会社が買主を探してきてくれることになります。
●レインズの利用は個人でもできるの?
レインズは不動産会社しか利用できず、下記の条件を満たしたレインズ会員になる必要があります。
①宅地建物取引業を営む者であること
②宅地建物取引業協会(宅建協会)、全日本不動産協会(全日)、不動産流通経営協会(FRK)、全国住宅産業協会(全住協)のいずれかに加盟していること
③レインズの運営等に関する経費を負担すること
また、レインズが一般に公開されていないのは、個人情報を取り扱っているという理由もあります。不動産会社(宅地建物取引業者)は宅建業法上「守秘義務」を守らねばならないとされており、問題が生じたとき、責任の所在を明確にするためにも、免許を受けた不動産会社でなければ利用できないとされています。
●物件検索だけではないレインズのいろいろな機能
①物件情報の登録・変更・成約・削除の登録
レインズに登録できる物件情報は次のようなものがあります。
1) 媒介を受けた(=依頼を受けた)売却物件、賃貸物件
2) 販売代理物件
3) 自社所有の売却物件、賃貸物件
4) 成約済みの取引情報
登録した売却物件について価格の変更等があった場合は「変更登録」。登録した物件が成約した場合には成約価格と成約日の「成約登録」。売り止めや他の不動産会社で成約となった場合は「削除登録」をそれぞれ行います。
②日報(物件リスト)の配信
レインズでは、新たに登録された物件や既存の登録物件で価格などが変更になった物件を掲載した「物件リスト」が配信されています。不動産業界では、この物件リストを日報と呼んでいます。日報は、事前に地域や物件種別(土地、マンションなど)を登録しておけば、毎日自動的に不動産会社へFAXされるように設定ができます。
③ 登録物件の検索
現在市場に出ている全国各地の売却物件や賃貸物件を検索することができます。物件情報をかなり細かい条件まで指定して検索できるので、買主の希望に合った物件を探すことが可能です。また、物件概要は文字による情報だけでなく、「販売図面」を取得することも可能です。「販売図面」はチラシ広告より詳細な内容になっており、購入依頼をした不動産会社から貰える物件資料は基本的にはレインズに登録されている「販売図面」になります。
④成約物件の検索
レインズに登録された物件が成約になり不動産会社から報告があると、そのデータがレインズ上に保存されることになります。成約物件の情報は、過去の取引事例として検索することが可能であり、新たな不動産を査定する材料として活用されています。
⑤登録済証の発行
不動産会社は、売却の依頼を受けた物件をレインズに登録したら、その登録を証明する「登録済証」を依頼者へ交付しなければなりません。これは宅建業法による不動産会社の義務となります。レインズに登録の義務があるのは媒介契約の中の「専任媒介契約」と「専属専任媒介契約」です。「一般媒介契約」は登録の義務はありません。
媒介契約について詳しくはこちらをご参照ください。
ちなみに、賃貸物件に関しては、専任媒介、一般媒介を問わず、レインズへの登録は義務化されていません。ただし、売買における一般媒介でも賃貸物件でも売主から登録を拒否される場合を除き、基本的にはレインズに登録し広く買主を探すのが通常です。
レインズに登録された売主の方は専用ページから自分の売却中物件の取引の状態が確認できるようになっています。確認の際には、レインズの登録証明書に記載された個別のIDとパスワードが必要となります。必ず媒介契約を結んだ不動産会社から登録証明書を受け取り、内容を確認するようにしましょう。
専属専任媒介契約又は専任媒介契約の売却物件の取引状況欄には、次のいずれかの取引状況を選択し、登録することとなっています。
取引状況は以下の通りです。
「公開中」
原則として紹介(物件資料提示、現地案内の受諾等)を行っている状態です。
「書面による購入申込みあり」
不動産会社が購入申込み書面を受領したときは、受領した翌日から2日以内(休業日を除く)に、原則として売主に報告し意向を確認したうえで、取引状況の登録を「書面による購入申込みあり」とし、書面を受領した日付および2番手以降の申込を受け付けるかどうかを明示しなければならないとされています。また口頭での購入申込は不可とされています。
「売主都合で一時紹介停止中」
紹介を一時停止することが認められます。 この場合、元付業者が売主の意向を確認せずに、勝手に変更することはできません。また、売主の意向や了解を得て、「取引状況の補足」欄に具体的な内容や期間を明示することなっています。売主の都合が解消された場合、その翌日から2日以内(休業日を除く)に「公開中」に変更する必要があります。
●レインズ登録のメリット
①物件の早期売買が可能
レインズはリアルタイムで運用されており、物件情報は登録完了と同時に全国の不動産会社へ公開されます。公開されれば、それだけ物件の早期売却の可能性が高まります。実際、物件情報公開当日に見学予約が入る例も少なくありません。
②売出価格が適正価格か判断できる
全国の市場に売却に出す事になるので売却に出してから1か月、2か月経過しても買主側からアプローチが無い場合には売出価格が適正では無いという判断もできます。
③複数の不動産業者に問い合わせする手間が省ける
レインズの運営が開始される以前は、売主は物件を早期売却しようとすると、何社もの不動産会社と媒介契約を結んで売却を依頼し、その物件の情報発信力を強めなければなりませんでした。(当時は一般媒介契約が主流でした)しかしレインズに物件情報を登録すれば、その情報が全国に発信されるので、売主は何社もの不動産会社へ売却を依頼する手間が省ける事になりました。
一方、買主にとってもレインズにアクセスすれば全国の物件情報を閲覧できるので、何社もの不動産仲介会社を回って物件を探す手間が省け、希望物件も見つけやすくなります。この売主・買主双方のメリットも、物件の早期売却の可能性を高めている背景と言えます。
今回はレインズ・指定流通機構について解説いたしました。
「レインズ」は不動産売却の際は必ず出てくる用語です。売却の際にはレインズの仕組みを理解した上で、ご自身の不動産をどの媒介契約で進めるのか、ご検討いただければと思います。当社では査定の際にも「レインズ」について詳しくご説明させていただきますので、ご安心してご相談ください。